じゃあサーキュラーバイオエコノミーって何だ。
サーキュラーとバイオの2軸が重要だと言った訳ですが、いったいどのように関わり合うのでしょう〜ということで、実際に大学院の授業で扱った2024年の論文を元に見ていきましょう〜。
タイトルは、"An economic perspective of the circular bioeconomy in the food and agricultural sector" で、普通にこんな感じでサーキュラーバイオエコノミーという単語が至る所に出てきます。日本では見たことなかった。
この論文自体は、サーキュラーバイオエコノミーの説明というよりも、
「経済的な費用と利益に加えて、社会的な費用と便益を加えると、適切な循環性が求まりまっせ。そうしたら、税金かけたり補助金出したりやりやすくなりまっせ。」
というミクロ経済学の基本モデルに循環性を足した、理論的な論文なんですな。
基礎的な経済学を抑えてないとイミフですが。
以前のニュースレターで書いた「バイオエコノミーを批判しよう」にて、「技術革新信仰」的なバイオエコノミーを軽く批判した論文でもありますね。
「政府や企業、NPO、消費者も含めて分野横断的にコラボすんねん!」って言うてますわ。
定義の話
循環型バイオエコノミーの定義は研究によって異なるが、 共通して、バージン素材の使用削減、素材のリサイクルと再利用、自然システムの修復と再生、そして不可避の廃棄物やその他の生物資源をバイオエネルギーやバイオ製品に転換して化石燃料の代替とすることを強調している(筆者訳)。
サーキュラーの部分は、
-
バージン素材の使用削減 (リデュース)
-
素材のリサイクルと再利用 (リサイクル)
-
自然システムの修復と再生 (リペア・リジェネレーション)
Tan & Lamers (2021)によると、サーキュラーエコノミーには 100 を超える定義があるそうで、もう無茶苦茶ですが、ここでは3R+再生という、良いやつを使ってますね!
ちなみに、代表的なエレンマッカーサー財団の3つの基本原則を挙げときましょう。みなさんがサーキュラーエコノミーを語りたい時は、これが1番いいです。意気揚々と「エレンマッカーサー財団によるとおおおお!」と言ってください。
(1) 廃棄物や汚染を出さない
(2) 製品や材料を再利用する
(3) 自然を再生する
バイオの部分は、
-
廃棄物や生物資源をバイオエネルギーやバイオ製品に転換して化石燃料の代替にする
資源のインプットを、化石燃料からバイオ燃料に、プラスチックからバイオプラスチックに、みいたいなことですね。
Tan & Lamers (2021)に言わせれば、バイオエコノミーに関しても定義がたくさんあって曖昧とのことで、これが社会科学の大変なところですが、まあ議論が活発とも言えるのかな。
TONIKAKU、バイオエコノミーは、サーキュラーが視野に入れてなかった「化石燃料からの転換」を補完してくれてるってことですね。

Tan & Lamers (2021)
こんな感じで、
インプット部分はバイオくんが担ってて、化石資源をバイオ資源で置き換えダイエット。
アウトプット部分はサーキュラーくんが担ってて、ゴミを最小限にする。
そうすることで、真ん中のサステナブル生産&消費ができるよねって感じです!
ちょっとシンプルにしすぎかなとも思うけども、まずはさらっと理解することが大切!
論文書くで〜って時に、鬼定義をすれば良いんだもの。
参考文献
-
Ellen MacArthur Foundation. What is a circular economy: https://www.ellenmacarthurfoundation.org/topics/circular-economy-introduction/overview
-
Khanna, M., Zilberman, D., Hochman, G., & Basso, B. (2024). An economic perspective of the circular bioeconomy in the food and agricultural sector. Communications Earth & Environment, 5(1), 507. https://doi.org/10.1038/s43247-024-01663-6
-
Tan, E. C. D. & Lamers, P. Circular bioeconomy concepts—a perspective. Front. Sustain. 2, 701509 (2021).
すでに登録済みの方は こちら